2014年も残り5時間だし無理やりまとめてみようぜ的総括

2014年も残すところ5時間、如何お過ごしだろうか。
年末の恒例行事として、私見・2014年10大トピックを書いてみた(敬称略)。
それでは、暇つぶしにどうぞ。


全日本変革、世代交代へ

昨年結果に恵まれなかった全日本が思い切った新体制へ。
2/6、パナで7シーズンに亘って指揮を務めた南部正司が監督に就任することが発表された。
スタッフにはチームマネージャーに小田勝美(元・堺)、コーチに真保綱一郎(現・パナソニック)・秋山央(現・筑波大学)、アナリストに伊藤健士(元・東レ)など各チームで実績がある人材が選ばれたことも大きな話題となった。
これに伴い、滞っていた世代交代が一気に推し進められる形に。
石川祐希、柳田将洋、山内晶大という現役大学生の3人がチャンスを掴んだことは皆様御存知の通り。
他方、高橋慎治が最高年齢で代表初登録となったことも話題を呼んだ。

最初に登録選手を見た時、これまでと比べて幅広い年齢・カテゴリーからの選出となっているという印象を受けた。
また、登録された30名のうちほぼ全員に(怪我等の選手は除いて)何らかの形で国際戦出場の機会が与えられたことは大きなプラス要素だと思う。
とはいえ、戦績はワールドリーグで1勝(19位)、アジア競技大会で準優勝。
ワールドカップを来年に控え、ここから更に結果が求められることは間違いない。

最後に、龍神の名を冠して以来初の写真集が発売され、特装版が完売となったことはその内容に反して高額な価格設定*1も含めて記しておきたい。


国体で長崎県が優勝

10/18〜21、長崎県にて69回目となる国民体育大会が開催された。
長崎県が、豊田合成トレフェルサJTサンダーズといったVプレミアチームを押さえての優勝となった。
開催地で開催地代表チームが優勝したことは2008年以来*2
長崎県Vリーグ登録選手が多く、永野・山添・吉村(パナ)、菅(JT)、松崎(サント)、丸山(つくば)らも出場した。
都市圏から比較的離れた開催地であったものの、多くのファンが足を運び、大会一か月前には近隣の宿が全て埋まるという事態に。
5位・7位決定戦では埼玉県(埼玉アザレア)が広島県(JTサンダーズ)に競り勝つという波乱も起きた。

出身地を同じくする選手がお揃いのユニを着て、所属チームとは違った活躍を見せるという一種のレア感。
プレミア・チャレンジ・大学・高校・地域とカテゴリフリー故の面白さ。
更にサマーリーグの開催が難しくなった男子にとっては、オフシーズン中の公式試合という意味でも貴重な大会となっていることは間違いない。

次の舞台は和歌山だが、来年はファン感謝イベントをバッティングさせることはくれぐれも避けて欲しいと思う。


ブランクなしの選手→監督

パナソニックパンサーズ大分三好ヴァイセアドラー東レアローズ
13/14シーズンまで現役だった選手が14/15シーズンから監督となったチームである*3
3人とも長年チームを支え実力と人気を兼ね備えた選手であっただけに、その采配には注目が集まっている。
直前までコートにいたからこそわかることも、十分な指揮経験がないまま就任したことで足りないものもあるだろう。

ほぼ変わらない顔ぶれに加え若手を積極的に起用する川村監督、大幅に選手起用を変えてきた小川監督、2週間でスタメンの半分を入替えリベロ併用を始めた篠田監督代行。
外国人監督が話題となった昨季だが、今季はブランクなしの選手→監督という新しいパターンに焦点が当たると面白いと思う。

個人的には、直近で対戦する墨田大会のパナソニックvs東レが楽しみであったりもする。


進むリベロ併用

プレミアリーグでは1レグが終了した時点で、5チーム(JTパナソニック、合成以外)が導入しているようだ。
最も一般的なのが、自チームサーブ時/相手チームサーブ時で入れ替え、ディグ/サーブレシーブをそれぞれ得意な選手に任せるというもの。
レアケースとしては、FC東京
スターティングリベロを通常通り後衛時のMBと替え、セカンドリベロを後衛時に他の特定選手(WS)と替えるというもの…だったと思われる。
全く規則性がわからなかったので東京クラスタさんに伺ったのだが*4
豊田合成は昨季と同じ、控えリベロをレシーバー起用し、終盤に後衛のWSと交替する戦術をとっている。

どれが正解とは限らないし、もしかしたらリベロは1人で通し、セカンドリベロはあくまでスターティングリベロが怪我をした時の控えというスタイルがリズムが取りやすいという意見も多いかも知れない。

しかし、セッターとリベロに関してはコートに1名しか立つことができない。
出場選手はどうしても偏ることになるし、それ故に若手の育成が非常に難しいポジションでもある。
控えの戦力充実とモチベーションアップを図るなら、複数の選手に同時に試合経験を積ませた方が可能性が広がるのではないかと思う。
交代に制限がないポジションでもあるし。

この流れに反して、今季からVリーグ公式のA票からセカンドリベロの欄が消えたことに対しては非常に遺憾である。


跳ぶ止める跳ねる…小柄なアタッカーの台頭

今季は小柄な選手が熱い。語弊を招きそうな表現ではあるが。
5年ほど前は(WSに関して)185cmで小柄という表現が使われていたが年々平均身長が下がり、今では180cm前後のWSもそこまで珍しくない。
JTのHGで小澤翔が大活躍し「僕は小さいですが…」とヒーローインタビューを受けていたことは記憶に新しい。
小澤はアタック決定率で4位、ブロック決定本数でも日本人WSでは最高位となる13位にランクインしており、首位を走るJTの貴重な戦力となっている。

他のチームに視点を移すと、ジェイテクトの浅野の活躍も目を引く。
「跳ねる」という表現がこれほど似合う選手もいないのではないかと思うくらい、コートを躍動する姿は非常に魅力的だ。
攻守に亘って縦横無尽にコートを駆ける姿は印象的だった。

出場機会こそ少ないものの、先日はボヨビッチの控えとして起用された東レの大木もこの系列に加えたい。
得点力が必要とされ、しかも他チームの外国人選手と争わなければいけないOPで180cmというのはかなり厳しいことは事実だが、突き抜けるような跳躍で高い壁をかいくぐる技術を持っている選手である。

ある程度の高さを要求される競技であるだけに、小柄な選手の放つ輝きは一際眩しいのかも知れない。


3本/sの壁

プレミアリーグではここ数年アタック決定率ランキングにMBの名前が入ることは稀である。
別にMB全体の質が低下して決定率が下がっているとかいうことではない。
規定となる「セット当たり3本の打数」がクリアできないためだ。
この打数が曲者で、1レグ終了現在でこの規定をクリアしているのは松本慶彦ただ一人。
次点では富松崇彰の2.68本/セットとなり、厳しい現状が伺える。

各チームで全体の総打数に占めるMBの割合を計算してみたところ、堺と東レが20%を越えているのみで、現在首位であるJTに至っては12%という結果となっていた。
それぞれの戦術や方針もあろうが、やはりこの数字は寂しい。
チャレンジや大学ではこのような傾向は薄いそうで、外国人選手へのトス偏重がある程度の原因なのではないかと思うが…。

個人的には、トスに偏りがなく真ん中もバックアタックもふんだんに使ってくるチームの方が見ていて楽しいので少々複雑な心境である。


プレミア、ニコ生全試合放送

大英断だと思う。
今季より、Vプレミアリーグの全試合ニコニコでの放送が発表された。
実況や解説はつかないし、画質もGAORAやBSのそれと比べてはいけないレベルである。
しかし、全試合全会場の試合の様子を映像付きで追いかけることができる。それだけで十分である。
帳票のみの観戦ではどうしても試合の様子を想像することは難しいが、動画があれば現地の雰囲気は伝わるはずだ。

時間や距離・金銭の制約から観たい試合を観られないファンの興味関心を繋ぎ止める効果は十分あるし、新規(今季はハイキューから入った方も結構聞く)の方もネット視聴が可能なニコニコ生放送からならかなり取っ付きやすいと思う。

今後望むのは、各試合の直URLを公式側から紹介して欲しいという点(何しろ放送試合数が多いので検索に手間がかかる)と、ライスコすらないチャレンジにも何らかの手を広げて欲しいという点だ(全試合とは言わないが)。

週末お出かけの際はタイムシフトをお忘れなく。


ポイント制あれこれ

14/15シーズンから新導入された制度。
詳細な内容は公式を御覧頂くとして、その内容にはいろいろ疑問点も多い。
フルセットの勝敗がかなりネックになってくるため、勝敗数と順位が比例しない週もあった。

問題に感じることは以下の2点。
・消化試合
レギュラーラウンドの活性化及びポストシーズンの緊張感の演出を掲げているが、レギュラーラウンドの順位に応じて0〜5点まで付与されるということはむしろファイナル6中盤において消化試合の発生が懸念されるのではないだろうか。
単純にレギュラーラウンド終盤ではなくなっただけという気がしてならない。
トータル試合数が減ったこと、3日連続試合という過酷な日程がなくなったことは選手の負担軽減になるとは思うが。
ちなみに、ファン目線から見るとギリギリまでファイナル6のどの日に贔屓チームの試合があるかわからないというのはなかなかに負担であったりする。(順位によって日程が決定するため)

・チャレンジマッチまでの間隔
プレミアリーグのレギュラーラウンド終了日が2/22、チャレンジリーグのそれが3/15。チャレンジマッチは3/28〜29に予定されている。
前者は5週空くのに対し、後者は2週のブランクとなるわけだ。
この3週間の差をどう見るか。
対策をじっくり練ることができるためプレミアが有利なのか、はたまた試合勘や緊張感が薄れないまま挑めるチャレンジが有利なのか。
結局のところ、チャレンジが3試合×2会場を安定させてプレミアとある程度時期を合わせることができれば各所の負担が減るような気がする。
チャレンジは参加チームが偶数となったメリットがあまり感じられないのが残念だと感じた。

いずれにしろ最後まで通してみないと何とも言えない部分だと思うので、シーズン終了後にまたどこかで所感を綴ってみたいところ。


天皇杯の衝撃

ここに関しては非常にデリケートなトピックなので、詳細は書かない。
全てが元通りになるまでにはまだまだ時間を要するほど大きな事件だったと思うので、ここで軽々しく語ることができない…というのが本音だ。

前代未聞の出来事である、全日本登録・Vリーグ所属現役選手の逮捕。
それも天皇杯という大きな大会期間中の不祥事である。
12/12に流れたこの衝撃的なニュースは各所を震撼させた。

目の前の試合がなくなるという空虚感、今後のチームとしての活動が全く予想できない不安と絶望、ここまで普通に試合に出て先週までユニを着ていた選手への失望、他のチームメイトの心配…ありとあらゆる負の感情が駆け巡った。

V機構からの制裁は譴責という比較的軽いもので済み、逮捕された選手自体も不起訴という報せが流れている。
チームは新体制となり、HGとなる三島で新しいスタートを切った。
再発を防ぐためにやるべきこと、各方面へのケア、逮捕された選手の今後に対する責任など、「当たり前に練習して当たり前に試合できる」日常が一度崩れ去った代償は余りにも大きく、今年の宿題はどっさり山積みだ。

まずは心機一転、宮崎で彼らの新しい一歩をしっかり見届けたいと思う。


Vリーグ栄誉賞、84の二人が更新

2013/14シーズンにおいて、Vリーグ日本記録賞が更新された。
それも、総得点部門(8シーズンぶり)、サーブ部門(11シーズンぶり)の同時更新(いずれも前記録保持者は山本隆弘)という偉業。
御存知の通り越川優のことだ。
彼はサントリーからJTに移籍して、10年ぶりにチームをファイナルの舞台に連れて行った。
移籍には賛否両論あったようだが、あくまで自分が必要とされる環境でできる限り最高の結果を出すというこの姿勢は正に「プロ契約のバレーボール選手」の生き様を体現しているようだった。

また、今年は表彰はされていないが、「個人記録で傑出した選手」の回数を更新したもう一人の選手の存在も触れたいと思う。
個人賞の受賞回数、11回。新人賞1回*5、ベスト6で6回、ブロック賞で5回という内訳となる。
もうお分かりだろう、富松崇彰である。
この11回という数字は荻野正二が06/07シーズンに更新して以来、7年ぶりの該当選手となっている。
現在まだ30歳という彼の年齢を考えると、こちらも十分凄い記録であることが伝わってくる。

奇しくも同い年で、かつての春高では対戦経験もある2人。
今季もそれぞれの部門で上位に食い込んでいる辺り、来年もコートでしっかり存在感を示してくれることだろう。




以上、2014年を自分なりの視点で振り返ってみた。
皆様はどんな1年だっただろうか。
来年もまたTwitterで、ブログで、そして現地で、沢山の方とバレーを愉しみたいと思う。
それでは、良いお年を。

*1:希望選手の数頁フルカラー小冊子が付くことで+\3000

*2:大分県開催、大分三好ヴァイセアドラーが優勝

*3:東レは12/20より監督代行という形

*4:山本洋平の起用法について随時御指摘募集中

*5:個人賞にはカウントされない