地球の裏側から〜Volleyball World Challenge Cup〜

9月。リーグ開幕までもうすぐ一ヵ月となるこの時期、様々なチームが遠征を行っている。
東レも勿論例外ではない。

各所で企業チーム存続の危うさが議論される中、地球の裏側まで遠征できる環境があるのは素直に恵まれていると思う。
ともあれ、今回時差や移動距離等の過酷な条件の中アルゼンチンまで足を運んだのには目的がある。
「Volleyball World Challenge Cup」という大会に出場するためだ。


この大会は、アルゼンチン(2チーム)・ブラジル・カナダ・アメリカ・日本から出場した合計6チームが2グループに分かれて覇を競うというものである。
カナダがユースに近いメンバーだったり、アメリカがユニバメンバーだったり、アルゼンチンにさらりとジバがいたり、やたらカオスなチーム編成になっていたりするが、それが故の楽しみがあったりする。
(外国については全くの無知ゆえ、内容の薄い概略になってしまったがorz)
ちなみに、今大会が米山さんが主将になってから参加する初めての公式戦だった。

最終順位


1位Personal Bolivar (アルゼンチン。グループB。ジバがいたとこ。東レが3-1でさっくり勝ったりした。ちなみにMVPはAngel Dennis)
2位Super Imperatriz Volei (ブラジル。グループA。東レスト負け)
3位Buenos Aires Unidos (アルゼンチン。グループA。東レスト負け)
4位東レアローズ (日本。グループB。史郎さん・相澤さん抜き。つまりMBは王さんだった)
5位FTC Canucks (カナダ。グループB。ユースっぽい。東レ3-1で勝ち)
6位UC Irvine (アメリカ。グループA。ユニバっぽい。昨年この大会で東レが勝ってたような気がする)

東レの戦い

東レはグループ戦の間は格上相手に白星をあげたりなど善戦したものの、4強に入ってからの順位決定戦ではスト負けに終わってしまった。

この大会での4位という順位は健闘なのかもっといけたのか妥当なのか、ちょっと判断が難しいところなのだが…ここでは、ちょっと各試合をスタメンでざっと振り返ってみようと思う。(実際に試合映像を見られたのは僅かな時間なので、戦略戦術以前にオーダーや個人の出来まで言及することはできそうもない)

1試合目,9/18

VS FTC Canucks(カナダ)

3-1(18-25,33-31,25-17,25-20)

スタメン 
米山、王、デキ、鈴木、富松、近藤 L:田辺

途中出場
角田、今田、大木、梅野

デキが27点ほど稼いで最多得点選手だったはず。
スロースターター気味。2セット目に粘ったのが大きかったか。
イランの時差ぼけが抜けていないであろう*1富松さん・米山さん・近藤さんが容赦なくスタメンだったわけだが、まあリーグも近いしそんなことは言ってられないか。

2試合目,9/19

VS Personal Bolivar(アルゼンチン)

1-3 (25-18,25-17,17-25,29-27)

スタメン
今田、王、デキ、大木、富松、近藤 L:渡辺

途中出場
米山、角田、瀬戸口、鈴木、梅野

ずっと今田のターン!状態が起きた模様(18点)。
ちなみにデキは14点。
ひとりのアタッカーが大当たりするとこのような結果になったりします。
…実は対戦相手がガチできていたかは疑わしい部分もある*2

3試合目,9/21

VS Super Imperatriz Volei(ブラジル)

0-3 (27-29, 14-25, 22-25)

スタメン
米山、王、デキ、角田、富松、近藤 L:田辺

途中出場
今田、鈴木、大木、梅野

1セット目の接戦を制することができなかったのが響いた模様。
スタメン、WSは豊富なので日替わり状態。
MBは最早これ以外の選択肢はなく(しかもひとりは本職じゃない選手)、この辺りは終盤になってくると厳しいかもしれない。

4試合目,9/22

VS Buenos Aires Unidos(アルゼンチン)

0-3(22-25,13-25,19-25)

スタメン
米山、王、デキ、大木、富松、近藤 L:渡辺

途中出場
今田、角田、瀬戸口、鈴木、梅野

完敗に近い点数だ。
一応、結果から読み取れることとしては、デキにマークがついて得点があげられなかったのが痛かったか。
ちなみにこの試合の最多得点者は富松さんの8点だった。
アタッカー達の攻撃が機能しなかったことが伝わってくるが…。



今季の東レ展望

勿論、この大会が東レの手の内の全てとは思わないし、ほとんどが私の独断と偏見で成り立っているので、全くの見当違いかも知れないのだが。

セッター

基本は近藤さんだろう。今大会で梅野さんを一度もスタメン起用しなかったのはむしろ意外ではあったが。
梅野さんの組み立て、私は結構好きなのだが、トスの精度や高さはやはり近藤さんに軍配があがると思う。
ディグ力ではひょっとしたら梅野さんの方が…かも知れないが、近藤さんのブロック力は世界でも十分通用していて(WLプレーオフ、最初のブロックポイントは彼だった)、MBに不安がある今季の東レには欠かせない存在となるだろう。

王さんは…ちょっと現時点ではMB起用がしっくりきていて、しばらくSとしての彼を見ていない*3ので、コメントは差し控える。

そういえば、「絶対S1スタート固定」だった今季の東レだが、今大会ではどうだったのだろうか。


ミドル

まあ…最も厳しいポジションであることは間違いない。
篠さんの方が相澤さんや史郎さんより早く戦線復帰しそうではあるが、彼も足に爆弾を抱えているわけで、全盛期のプレーは厳しいだろう。
富松さんも昨年辺りからずっとだましだましで何とか試合に出ているような状況であるし…。
王さんが完全コンバートになってしまっても仕方が無いと思えてしまうくらいで、内定選手にMBがいた場合は即レギュラーもあり得る。

今大会では大学との試合のように今田・角田・鈴木・瀬戸口をかわるがわるMB起用…とはしなかったようで、さすがにリーグに向けて本来のポジションで、ということになったのかも知れない。


リベロ

修さんがベテランの域に入ってきたこともあり、今季は俊さんと併用していくだろう…というか、そうでないと困る。後継が育つ前に(放送禁止用語)するのだけはやめて下さい本当に。
その意識は今大会も見えたので、ちょっと安心。

非常にデリケートな問題なので、あれこれ言いにくいのだが…
やはり俊さんのように大学終盤でアタッカー兼セッターとしてばんばんあげて打っていて、昨季まではレシーバーと言えどWSも視野に入れた練習をしていて、今季いきなりのコンバートというのは厳しいだろう*4、いろいろと。

それこそ勝野さんの勇退が悔やまれるくらいには。
ただ、相手のサーブの狙いを味方に伝えたり、ムードメーカー的な役割を果たしたりするなど、彼自身にはLの素質はしっかりあると思うので、今季の成長を楽しみにしている。


アタッカー

とりあえずオポは、契約延長してくれてありがとう状態のデキさんで、彼に何かがあった場合は、今田さんか瀬戸口さんが代役を務めるという形になるだろう。

サイドは他ポジに比べて多過ぎるくらいだが…やはり今季も米山新主将が軸なのは堅いと思う。
今大会では本当に日替わり状態でWSを替えていたが、スタメン経験が浅い若手も増えてきたので、そろそろ彼ら若手もメインでスタメンに入るようになって欲しいところ。

ただ、悠二さんのピンサはスタメン出場で失うには非常に惜しいところで…*5もしかすると彼はリリーフ型の選手として温存されるかもしれない。

他方、守備力と決定力のバランスを見ると、大木さんが最もスタメンに近いかなと思っている。
瀬戸口さんはどちらの面もあと一歩感が拭えないし、史郎さん*6は復帰後はまずレセプション練習からとなるだろうし…

ジャンサとライト打ちが随分頼もしくなってきた角さんと、相変わらず硬軟織り交ぜた攻撃が巧い今田さんのベテラン達も勿論大きな戦力なのだが、今後のことを思うと、メインでスタメンに据えるようでは…という考えが出てきてしまう。
実際、この御二人は後輩に指導する場面が昨季よりもかなり増えていた。
特に後者…OPについてとても熱心に瀬戸口さんへアドバイスしていた今田さんが夏季の練習で印象に残っている。



長々書いたが、リーグ開始まで41日。
まずは怪我なく無事に日本へ戻ってくることを望む。
そして、41日後には米山さんを中心に「結束」したチームが見られることを願うばかりである。

*1:オフは1日のみだった

*2:次ラウンドに進出が決定した後のグループ戦だったため。ぶっちゃけ消化試合

*3:国体出場@富山代表〜梅野・近藤両名が全日でチームを離れていた時期はSだったのだろうが

*4:リーグを見渡すと、現役では福田誉さん・高志保さん辺りがこの枠に入るだろう

*5:俊さんもピンサに入れなくなってしまったし

*6:WSに戻りたいという本人の意向があるようだ