夢の続き〜越谷章選手の勇退に寄せて〜

6/9の発表があってから約1カ月。
その間に発送されてきた会報にも退部の報せが載っていたりして、十分覚悟はしていたつもりだった。
しかし、実際に公式HPであのように発表になってみると、涙を堪えることなんてできるはずもなかった。
帰りの電車で少し泣いたのは白状しておく。


チームとしての、ではなく一個人としての越谷章選手を長年応援されてきたファンの胸中を私が窺い知ることはできるはずもないので、ツイッター上では軽々しく言葉がかけられなかったが…その分の想いはここに書かせて頂きたい。


プレー

優勝年のセミファイナルを代表するように、数々の奇跡を起こした仕事人であることは聞き及んでいても、私が初めて生で越谷さんのプレーを目にしたのは2010年の町田だった。

当時、米山さんの不調により越谷さんがコートに入って、パナソニックとフルに持ちこんで攻守共に大活躍を見せたのは記憶に鮮明に残っている。

「全日本選手よりうまいじゃん」という感想がまず一番だった(笑)


それからしばらく東レを追いかけて行くうちに、仕事人としての数々の奇跡の場面を目撃することになるのだが…

プレミア最後の年となった10/11シーズンの黒鷲と11/12シーズンは何度もスタメン起用されて優勝や12連勝の立役者となったのは皆様も御存知の通りだ。


人柄

公式HPのコメントに全てが表れていると思う。

非常に熱くてまっすぐで、優しく、純粋で、天然で、ユーモアがあって、そしてシャイ。

一昨年の広島でFCに敗戦を喫して床に飲料を叩き付けて自分達の不甲斐なさに怒りを露にしたのも彼なら、「アラスリー」「メンズエステ行ってます」「ぎゃんばります」など、ユーモア溢れる天然な珍回答を残すのも彼で、ズボンを反対に履いたり前歯を折ったりと数々のユニークな逸話を残したのも彼なのである。

仕事人としての神がかりっぷりが印象に残る一方で、虫と魚が苦手で家族が大好きなお父さんというこのギャップがまた魅力的だ。


一昨年、悠二さんと史郎さんが2人揃って全日登録された時、彼らは「全日合宿よりも越谷さんと練習した方が身になる」という旨のことを話していたのが強く印象に残っている。


そして勿論、米山裕太さんにとって大きな師であり先輩であり憧れでありライバルであったことは、数々の記事や試合等の記録を見てもわかる通りである。


個人的な思い出

年末になると「ちゃんと大掃除やった?」とか聞かれたのは印象深い(笑)

「監督が方針的に必要とするなら…(全日行く)」という決意の言葉を聞いたのが三島での最後。
その後の浜松でお話する機会があった際に、「どうもありがとう」と深い会釈を頂いたのが選手としての最後だった。

いつの越谷さんも非常に低姿勢で優しさが溢れていた。


勇退自体は、もう昨季が始まる辺りから決まっていたのではないだろうかと思う。
秋山前監督の動き(10の勇退引き止め→スタメン起用→植田氏への働きかけ)や練習の時の様子から、そんな気がした。



選手として輝ける時期は一瞬

名言。

今日まで沢山の感動と勇気を与え続けてくれている越谷さん、それをずっと応援されている方々、ひとまずは本当にお疲れ様です。
そして何よりも、素敵な思い出を沢山ありがとうございました。


数多くの選手を育て、目標とされて、皆から愛された仕事人の夢の続き、遠くからまだまだ応援させて頂きたいと思う。